八卦掌と八極拳について

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八卦掌は、清朝後期に紫禁城で宦官であった董海川によって創始されたと言われています。宦官とは、肉体的に女性に近い性質になった男性(肉体的には、現在で言うニューハーフに近い)であったため、この八卦掌という武術は、女性の持つしなやかさと男性の持つ力強さを合わせ持つ風格を持っている武術だとも言えます。また、八卦掌という名前は、董海川よりも、大分後になってから使われるようになったようです。この董海川からは、二大門派が生まれました。その一門派が、程廷華の系統の八卦掌で、程派八卦掌と呼びます。この程派八卦掌は、主に民間の間で伝わりました。また、一説では程廷華が少林拳を学んでいたため、少林拳の影響を受けているとも言われています。
そして、八卦掌を創始した董海川と同じく、紫禁城内で警護の仕事をしていた者に主に伝わった門派があります。この門派は、例外はありますが、主に紫禁城内の警護職につく者にのみ伝えられました。後に紫禁城内で警護の職についていた名人宮宝田が八卦掌を受け継ぎました。当会で練習している八卦掌は、この宮宝田から伝わった八卦掌であり、宮派八卦掌とも呼ばれる場合がある系統です。この八卦掌の型は、大きく分けて、2種類に分類されます。それは、先天八卦掌と後天八卦掌です。先天八卦掌とは、純粋な八卦掌の技術で構成されている型の事です。後天八卦掌とは、八卦掌の技術だけでなく、他派の影響を受けて、構成されている型の事です。当会の八卦掌を伝えた宮宝田は、もともと羅漢拳を学んでいました。その結果、当会の後天八卦掌の技法には、羅漢拳の影響が強く出ています。当会では、練習の中で八極拳などをはじめとする他派も弊習しますが、本来八卦掌だけを練習する場合、この羅漢拳の影響を受けた後天八卦掌を学ぶ事によって、発勁技術を学びます。基本的
に、純粋な意味での八卦掌の技術は、攻防原理と柔勁が中心になっています。そのため、発勁の技法を補うため、程派八卦掌などの他派の八卦掌では、形意拳と弊習する事が多い訳ですが、当会に伝わる八卦掌は、羅漢拳によって発勁技法を学ぶのです。また、先程もお話しした通り、当会では八極拳なども弊習する事で、より高い発勁の技術を学びます。
後天八卦掌の型は、前述したように羅漢拳の影響が強く、八卦腿や八卦拳という型にかんして言えば、ほぼ羅漢拳の技法だといえます。また、八卦掌は、易経の理論が中心にある武術です。易経の理論を簡単に説明すると、根本原理はそのままで、常に変化していくという考えを持っています。そのため、八卦掌は一人一派と言われるほど、分派があり、形も変化しました。この八卦掌を学ぶ前に学んでいた門派が大きく影響を与えるとも考えられます。また、他派には八卦六十四掌という型がありますが、当会の八卦掌には、型としては存在しません。しかし、八卦六十四掌は、当会の八卦掌にも存在します。それは、他の型の中に内在しているという事です。八卦六十四掌とは、変化の末端だということでもあります。当会の八卦掌では、八卦六十四掌を教習する場合、この型の作られた意味、構成原理を教習し、形は教習しません。つまり、形は、練習者がそれぞれで構成するのです。この、形を練習者がそれぞれで構成するという事では、八卦連環掌も同じような意味を持ちます。ただ、ベ
ースとなる形があるというだけで、本来、練習者が自分で構成するのです。このように八卦掌という武術は、根本原理をそのままに、形や技法を変化、構成させる能力を必要とする武術なのです。言い方を変えれば、八卦掌という武術は、変化力と構成力という能力を身に付ける武術だともいえます。また、当会の八極拳は、この八卦掌の影響をたぶんに受けています。八極拳の型の八極連環拳という型が代表的な例えだと言えます。この型には、ベースとなる形が存在しますが、本来この八極連環拳という型は、八極拳という武術の術理内で、自由に形を構成する型となっています。八卦掌と同じく、八極拳の技法を使い、変化、構成する能力を必要とする型なのです。もちろん、上述したように、術理や原理から離れてもいけません。自由に形を変える事と、好き勝手に形を変える事は違います。自由に形を変えるとは、変化であり、術理や根本原理を変えずに形を変える事です。好き勝手に形を変えるとは、術理や原理を無視して形を変える事です。このように、この八極連環拳という型は、
術理や原理を理解し、その上で変化させれた時に始めて完成といえます。当流では、昔からこのような言葉があります。一言一句そのままの言葉で伝わっている訳ではないですが、だいたい下のような意味です。『学んだ事を、学んだままでしか伝えれない人間は無能だ。根本原理が理解できてないから変える事が出来ない。』と。
このように、八極拳に限らず、当会に伝わっている中国武術は、少なからず八卦掌の影響を受けています。そのため、教習法やカリキュラムには、八卦掌の段階的な練習法や、易経の理論が大きく反映されています。八卦掌の影響を受けた武術には、大きな意味で、技術的段階があります。
第一段階 定
第二段階 活
第三段階 変
上記の3つの段階です。第一段階を簡単に説明すると、形を正確に覚え、型の基準を確立する事です。第二段階は、基準となる形を連続的に運用する身法を身に付ける段階で、原理を理解する段階でもあります。第三段階は、原理を理解し、踏まえた上で変化させる段階で、ここに至って始めて当門派を身に付けたと言えます。理解しずらいかもしれませんが、今回はあえて第三段階の変の見地から説明させて頂きました。つまり、同じ事柄についても、これらの段階によって見方が変わり、説明のしかたも変わってくるという事です。


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